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【TPP問題】 エドマンド・バークからアダム・スミスへの忠告 (下)

 フリードリッヒ・リスト 01  エドマンド・バーク 02  アレキザンダー・ハミルトン 03
画像は左から順に、フリードリッヒ・リスト、エドマンド・バーク、アレキザンダー・ハミルトン。


経済とは即ち経國済民であり、経國済民の「國」とは即ち國體のことであります。國體を無視した経済論など、本当は経済論などではない、経済論モドキであります。「国家は決して世界政府的な主義体系によって統治されてはならず、それぞれの国家の国益についての深い研鑽によって得られた見識に基づいて統治されるものである」とのバークの忠告は、偽装保守にして革新系の小泉元総理大臣や新自由主義云々に、いまだに未練タラタラな現代日本人にも、そのまま忠告として通用します。

経済即ち経國済民について、フリードリッヒ・リストと同様な主張を展開するのがアレキザンダー・ハミルトンです。ハミルトンには『製造業に関する報告書』という著作があります(邦訳本あり)。そうした真正の国家観をもって経済や産業力を説く、リストやハミルトンの著作を読めば、TPPに反対を唱えないことこそが「真の反米」であり、「極左反米思想」であり、反ハミルトンであり、反バークであるということが歴然と判明するのです。

TPP推進論者たちの悪質なところは、「親米」という毛皮をかぶって自己のメンタリティに潜む「極左反米思想」=「自己の思想の本籍」を覆い、同時にその「極左反米思想」を温め続けているところにあります。さしあたって、産経新聞、読売新聞などがその典型であります。ちなみに朝日新聞は、TPP・自由貿易に関する主張やその話の筋は産経・読売に近似していても、敢えて「親米」という毛皮をかぶっているわけではなく、そうした観点から考慮するならば、産経新聞、読売新聞は、朝日新聞よりも悪性度が高く、悪質と言うべきでしょう。

たとえばこの記事↓は、このまま朝日新聞に載せてもいいくらいの出来映えというべきでしょう。
【主張】TPP参加 もはや先送りは許されぬ - MSN産経ニュース
(2011.10.09)

ですから小生は、以前から申しているのです、産経は朝日の子会社にでもなってはどうかと。(笑)

愛すべき「保守派」の方々に申し上げたいのは、そもそも、産経新聞のことを「保守系の新聞」などと捉えている段階で、その人の自称「保守」脳は思考遅滞症候群へと思いっきりハメられてしまっているということです。反バーク新聞、反ハミルトン新聞のいったいどこが「保守系の新聞」なのでしょうか、ということであります。小生の観察するところ、TPP論議における産経の知脳レベルは、憲法論議における谷田川某の知脳レベルとほぼ同等です。

        ◇        ◇        ◇

そしてもう一つ、愛すべき「保守派」の方々に申し上げたいのは、アダム・スミスは「保守」か? ということであります。

言い換えるなら、
アダム・スミスは『健全で有益な思想家』か?
アダム・スミスは『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』か?
ということであります。
小生は、アダム・スミスを『健全で有益な思想家』の一人とすることに、あるいはまた『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』の一人とすることに、大いに疑問を呈したいと思っています。

この『健全で有益な思想家』というフレイズは、中川八洋著『正統の哲学 異端の思想』からの引用です。中川八洋著『正統の哲学 異端の思想』において、アダム・スミスは『健全で有益な思想家』の一人として挙げられています。また、『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』というフレイズは、中川八洋著『保守主義の哲学』からの引用です。中川八洋著『保守主義の哲学』において、アダム・スミスは『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』の一人として挙げられています。

小生は、バークやハミルトンこそ、間違いなく『健全で有益な思想家』の筆頭代表格であり、『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』の筆頭代表格であると考えています。対して、アダム・スミスは「國」の認識が薄弱で、世界政府的な主義体系に経済(=経國済民)をハメ込もうとする理念を抱いているところがあるように思われてならないのであります。

よって、中川八洋著『正統の哲学 異端の思想』にある中川先生御作成の『健全で有益な思想家』リスト、ならびに中川八洋著『保守主義の哲学』にある同『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』リストについて、小生はそれらを全面的には認容することはできず、少なくともアダム・スミスについては却下、すなわち当該リストから除外するか、少なくとも「(カッコ)」付きとすべき人物の一人とするのが妥当ではないかと思うわけです。

加えて申し上げるなら、中川先生御作成の『健全で有益な思想家』リストと『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』リストに挙げられている人物のうち、ハンナ・アーレント、カール・ポパーの両名についても「國」の認識が薄弱にうかがえます。容共的側面の影がちらつく部分や、やや頭の弱い者に対する弱者同情的なところなどは、かつて「犯罪者にもいろいろと事情があるんですよ」云々と発言したことのある何処ぞの大臣と極左リベラル系の最大公約数を共有しているようにさえ思え、小生としては認容し難いところがあるのですが、そのあたりについてはもっと考究を進めてから別の機会に綴ってみたいと思います。





 ■ Online Library of Liberty - Edmund Burke (1729 - 1797)
 ■ Online Library of Liberty - Alexander Hamilton (1757 - 1804)
 ■ Online Library of Liberty - Friedrich List (1789 - 1846)
 ■ Online Library of Liberty - Adam Smith (1723 - 1790)





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【TPP問題】 エドマンド・バークからアダム・スミスへの忠告 (上)

 フリードリッヒ・リスト 01  エドマンド・バーク 02  アレキザンダー・ハミルトン 03
画像は左から順に、フリードリッヒ・リスト、エドマンド・バーク、アレキザンダー・ハミルトン。

より正確には、エドマンド・バークから自称「自由論者」、自称「保守論者」への忠告であります。「アダム・スミス」というのは自称「自由論者」ないし自称「保守論者」を含意する筆頭代名詞に過ぎません。

TPP・自由貿易という「トロイの木馬」に自分から進んで感染し、経済の供給能力を生きたまま中絶せしめ、もって「真正自由の道」とは正反対の、国民総生活保護の「弱者になる道」を歩もうとしている日本にとって、今こそ読むべき、尋常ならざる内容の著作が今から百七十年前に出版されています。はっきり申して、読み進めれば読み進めるほど、百七十年も前に出版されたとは俄かには信じがたい内容の大著であります。

フリードリッヒ・リスト著 『経済学の国民的体系』 (1841年刊)であります。
Friedrich List, The National System of Political Economy [1841]
(Online Library of Liberty)

ドイツ語で出版された同書の書名の英訳が「The National System of Political Economy」で、『経済学の国民的体系』というのは、昭和45年に同書の邦訳本を出版された小林昇氏の訳による同書の書名です。ちなみに「The National System of Political Economy」の初邦訳本は、『李氏経済論』(上巻・下巻)の書名で明治22年に出版されています。明治22年といえば大日本帝國憲法が発布された年であります。天然かつ真正の秀才、井上毅もご存命であった時代です。

「The National System of Political Economy」を、小生は同書の英文の内容を踏まえ、
『経済論 ---経済、すなわち真正自由の経國済民について---』
と訳すことにしました。このエントリで採り上げるのは大著「The National System of Political Economy」のなかの一章の、さらにそのなかの極めて短い一節に過ぎません。そこに本エントリのタイトルにも拝借した "Burke declared in confidence to Adam Smith ..." という部分がありますので、保守哲学と経済論を同時に考察できるきっかけなり、一助なりになればと思うわけです。

本エントリを通じた結論を先にまとめておくなら、政治哲学の領域であれ、経済論であれ、貿易論であれ、憲法論であれ、國體否認ないし國體否定の思想に真正の自由など無いのである、ということであります。國體否認ないし國體否定の思想は、それが如何なる名称にあっても、自由ゼロの社会を目指す思想である、ということであります。構造改革信奉も、新自由主義礼賛も、自由貿易の絶対的信奉も、妄信的従米も、共産主義信奉も、國體否認ないし國體否定の度合においては、いずれも負けず劣らずのいい勝負だということであります。

Friedrich List,
The National System of Political Economy
Chapter XXXIV: THE INSULAR SUPREMACY AND THE GERMAN COMMERCIAL UNION

フリードリッヒ・リスト著
 『経済論 ---経済、すなわち真正自由の経國済民について---』
 「第34章 英国の支配的優越とドイツ通商連合」 より

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

We must correct the view of the author of the report, that public opinion in Germany is in favour of free trade, by stating that since the establishment of the Commercial Union people have acquired a clearer perception of what it is that England usually understands by the term 'free trade,' for, as he himself says, 'Since that period the sentiments of the German people have been diverted from the region of hope and of fantasy to that of their actual and material interests.'

その記事によると、「ドイツの国論は自由貿易称賛である」というのであるが、正しくは、通商連合の設立以来、人々は、英国が「自由貿易」という御旗の下で常々何を考えているのかということについて、いよいよ明確に思い知ったのである。その記事にもある通り、通商連合の設立を契機として、我々国民の気持ちは、夢と希望のお花畑ワールドから実利実益重視の現実世界へと次第に方向転換し始めたのである。

The author of the report is quite right when he says that intelligence is very greatly diffused amongst the German people, but for that very reason people in Germany have ceased to indulge in cosmopolitical dreams.

その記事の言っていることは実に正しい。国民の間に正しい知識が広く共有されるに至ったというのは正にその通り。しかし正しい知識が広く共有されるに至ったからこそ、世界政府的な理念のなすがままにさせておくのを我々国民がもうやめると考えるに至ったのである。

People here now think for themselves―they trust their own conclusions, their own experience, their own sound common sense, more than one-sided systems which are opposed to all experience.

今や、国民は自分たち自身の頭で考え、そして思い至った結論の正しさを確かめ、現実に起こっていることを重視し、真っ当な良識を擁護し、対して、積み重ね得た経験に反する、貿易当事者の一方にのみ有利な制度はもう沢山だと思っているのである。

They begin to comprehend why it was that Burke declared in confidence to Adam Smith 'that a nation must not be governed according to cosmopolitical systems, but according to knowledge of their special national interests acquired by deep research.'

そして国民は、バークの声に耳を傾け始める。「国家は決して世界政府的な主義体系によって統治されてはならず、それぞれの国家の国益についての深い研鑽によって得られた見識に基づいて統治されるものである」とアダム・スミスに忠告したエドマンド・バークの声である。

People in Germany distrust counsellors who blow both cold and hot out of the same mouth. People know also how to estimate at their proper value the interests and the advice of those who are our industrial competitors. Finally, people in Germany bear in mind as often as English offers are under discussion the well-known proverb of the presents offered by the Danaidæ.

最早、国民は、主張の色合いを都合よく変えてくる経済顧問の大先生らの意見に付き合うのはやめにしようと思っている。貿易上の諸利害やその相手方からの勧告を、どのようにすれば自分たちからみて本来あるべき価額に見積もることができるのかを知らないほど我々国民はバカではない。そしてようやく、我々は英国が出してくる提案を審議する度に、かの格言、"Fear the Greeks bearing gifts" 「贈り物を携えた外人には注意せよ」 を肝に銘じるようになったのである。

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

(oyoyo 謹訳)
-------------------------

最後の "the well-known proverb of the presents offered by the Danaidæ" の訳については、Timeo Danaos et dona ferentes - Wikipedia と、この格言の比較的定番になっていそうな英訳表現を参考にしました。「トロイの木馬」の話です。



まぁ、TPPの場合は、「贈り物を携えた外人」に注意せよ、ではなく、「贈り物(メリット)があるように日本国民に思わせようとしている反日日本人」に注意せよ、であります。贈り物の中に爆弾やウイルスを仕掛けて相手に持たせるのは勿論犯罪ですが、贈り物(メリット)が無いのに贈り物(メリット)があるように思わせて契約を結ばせようとする行為は紛れもなく詐欺未遂であり、結果的には契約を結ぶに至らなくとも、当該行為者はもうその時点(つまり現時点)で犯罪の容疑者であります。デフレ脱却の重要性を理解しない(=経國済民が判っていない國體無視の)TPP推進論者とはそういう連中なのです。TPP推進論者の氏名・所属の一覧表(=詐欺未遂の容疑者の氏名・所属の一覧表)をいまから作っておくのがよろしいかもしれません。

経済とは即ち経國済民であり、経國済民の「國」とは即ち國體のことであります。國體を無視した経済論など、本当は経済論などではない、経済論モドキであります。「国家は決して世界政府的な主義体系によって統治されてはならず、それぞれの国家の国益についての深い研鑽によって得られた見識に基づいて統治されるものである」とのバークの忠告は、偽装保守にして革新系の小泉元総理大臣や新自由主義云々に、いまだに未練タラタラな現代日本人にも、そのまま忠告として通用します。

経済即ち経國済民について、フリードリッヒ・リストと同様な主張を展開するのがアレキザンダー・ハミルトンです。ハミルトンには『製造業に関する報告書』という著作があります(邦訳本あり)。そうした真正の国家観をもって経済や産業力を説く、リストやハミルトンの著作を読めば、TPPに反対を唱えないことこそが「真の反米」であり、「極左反米思想」であり、反ハミルトンであり、反バークであるということが歴然と判明するのです。





【TPP反対!】 エドマンド・バークからアダム・スミスへの忠告

 フリードリッヒ・リスト 01  エドマンド・バーク 02  アレキザンダー・ハミルトン 03
画像は左から順に、フリードリッヒ・リスト、エドマンド・バーク、アレキザンダー・ハミルトン。

より正確には、エドマンド・バークから自称「自由論者」、自称「保守論者」への忠告であります。「アダム・スミス」というのは自称「自由論者」ないし自称「保守論者」を含意する筆頭代名詞に過ぎません。

TPP・自由貿易という「トロイの木馬」に自分から進んで感染し、経済の供給能力を生きたまま中絶せしめ、もって「真正自由の道」とは正反対の、国民総生活保護の「弱者になる道」を歩もうとしている日本にとって、今こそ読むべき、尋常ならざる内容の著作が今から百七十年前に出版されています。はっきり申して、読み進めれば読み進めるほど、百七十年も前に出版されたとは俄かには信じがたい内容の大著であります。

フリードリッヒ・リスト著 『経済学の国民的体系』 (1841年刊)であります。
Friedrich List, The National System of Political Economy [1841]
(Online Library of Liberty)

ドイツ語で出版された同書の書名の英訳が「The National System of Political Economy」で、『経済学の国民的体系』というのは、昭和45年に同書の邦訳本を出版された小林昇氏の訳による同書の書名です。ちなみに「The National System of Political Economy」の初邦訳本は、『李氏経済論』(上巻・下巻)の書名で明治22年に出版されています。明治22年といえば大日本帝國憲法が発布された年であります。天然かつ真正の秀才、井上毅もご存命であった時代です。

「The National System of Political Economy」を、小生は同書の英文の内容を踏まえ、
『経済論 ---経済、すなわち真正自由の経國済民について---』
と訳すことにしました。このエントリで採り上げるのは大著「The National System of Political Economy」のなかの一章の、さらにそのなかの極めて短い一節に過ぎません。そこに本エントリのタイトルにも拝借した "Burke declared in confidence to Adam Smith ..." という部分がありますので、保守哲学と経済論を同時に考察できるきっかけなり、一助なりになればと思うわけです。

本エントリを通じた結論を先にまとめておくなら、政治哲学の領域であれ、経済論であれ、貿易論であれ、憲法論であれ、國體否認ないし國體否定の思想に真正の自由など無いのである、ということであります。國體否認ないし國體否定の思想は、それが如何なる名称にあっても、自由ゼロの社会を目指す思想である、ということであります。構造改革信奉も、新自由主義礼賛も、自由貿易の絶対的信奉も、妄信的従米も、共産主義信奉も、國體否認ないし國體否定の度合においては、いずれも負けず劣らずのいい勝負だということであります。

Friedrich List,
The National System of Political Economy
Chapter XXXIV: THE INSULAR SUPREMACY AND THE GERMAN COMMERCIAL UNION

フリードリッヒ・リスト著
 『経済論 ---経済、すなわち真正自由の経國済民について---』
 「第34章 英国の支配的優越とドイツ通商連合」 より

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

We must correct the view of the author of the report, that public opinion in Germany is in favour of free trade, by stating that since the establishment of the Commercial Union people have acquired a clearer perception of what it is that England usually understands by the term 'free trade,' for, as he himself says, 'Since that period the sentiments of the German people have been diverted from the region of hope and of fantasy to that of their actual and material interests.'

その記事によると、「ドイツの国論は自由貿易称賛である」というのであるが、正しくは、通商連合の設立以来、人々は、英国が「自由貿易」という御旗の下で常々何を考えているのかということについて、いよいよ明確に思い知ったのである。その記事にもある通り、通商連合の設立を契機として、我々国民の気持ちは、夢と希望のお花畑ワールドから実利実益重視の現実世界へと次第に方向転換し始めたのである。

The author of the report is quite right when he says that intelligence is very greatly diffused amongst the German people, but for that very reason people in Germany have ceased to indulge in cosmopolitical dreams.

その記事の言っていることは実に正しい。国民の間に正しい知識が広く共有されるに至ったというのは正にその通り。しかし正しい知識が広く共有されるに至ったからこそ、世界政府的な理念のなすがままにさせておくのを我々国民がもうやめると考えるに至ったのである。

People here now think for themselves―they trust their own conclusions, their own experience, their own sound common sense, more than one-sided systems which are opposed to all experience.

今や、国民は自分たち自身の頭で考え、そして思い至った結論の正しさを確かめ、現実に起こっていることを重視し、真っ当な良識を擁護し、対して、積み重ね得た経験に反する、貿易当事者の一方にのみ有利な制度はもう沢山だと思っているのである。

They begin to comprehend why it was that Burke declared in confidence to Adam Smith 'that a nation must not be governed according to cosmopolitical systems, but according to knowledge of their special national interests acquired by deep research.'

そして国民は、バークの声に耳を傾け始める。「国家は決して世界政府的な主義体系によって統治されてはならず、それぞれの国家の国益についての深い研鑽によって得られた見識に基づいて統治されるものである」とアダム・スミスに忠告したエドマンド・バークの声である。

People in Germany distrust counsellors who blow both cold and hot out of the same mouth. People know also how to estimate at their proper value the interests and the advice of those who are our industrial competitors. Finally, people in Germany bear in mind as often as English offers are under discussion the well-known proverb of the presents offered by the Danaidæ.

最早、国民は、主張の色合いを都合よく変えてくる経済顧問の大先生らの意見に付き合うのはやめにしようと思っている。貿易上の諸利害やその相手方からの勧告を、どのようにすれば自分たちからみて本来あるべき価額に見積もることができるのかを知らないほど我々国民はバカではない。そしてようやく、我々は英国が出してくる提案を審議する度に、かの格言、"Fear the Greeks bearing gifts" 「贈り物を携えた外人には注意せよ」 を肝に銘じるようになったのである。

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

(oyoyo 謹訳)
-------------------------

最後の "the well-known proverb of the presents offered by the Danaidæ" の訳については、Timeo Danaos et dona ferentes - Wikipedia と、この格言の比較的定番になっていそうな英訳表現を参考にしました。「トロイの木馬」の話です。



まぁ、TPPの場合は、「贈り物を携えた外人」に注意せよ、ではなく、「贈り物(メリット)があるように日本国民に思わせようとしている反日日本人」に注意せよ、であります。贈り物の中に爆弾やウイルスを仕掛けて相手に持たせるのは勿論犯罪ですが、贈り物(メリット)が無いのに贈り物(メリット)があるように思わせて契約を結ばせようとする行為は紛れもなく詐欺未遂であり、結果的には契約を結ぶに至らなくとも、当該行為者はもうその時点(つまり現時点)で犯罪の容疑者であります。デフレ脱却の重要性を理解しない(=経國済民が判っていない國體無視の)TPP推進論者とはそういう連中なのです。TPP推進論者の氏名・所属の一覧表(=詐欺未遂の容疑者の氏名・所属の一覧表)をいまから作っておくのがよろしいかもしれません。

経済とは即ち経國済民であり、経國済民の「國」とは即ち國體のことであります。國體を無視した経済論など、本当は経済論などではない、経済論モドキであります。「国家は決して世界政府的な主義体系によって統治されてはならず、それぞれの国家の国益についての深い研鑽によって得られた見識に基づいて統治されるものである」とのバークの忠告は、偽装保守にして革新系の小泉元総理大臣や新自由主義云々に、いまだに未練タラタラな現代日本人にも、そのまま忠告として通用します。

経済即ち経國済民について、フリードリッヒ・リストと同様な主張を展開するのがアレキザンダー・ハミルトンです。ハミルトンには『製造業に関する報告書』という著作があります(邦訳本あり)。そうした真正の国家観をもって経済や産業力を説く、リストやハミルトンの著作を読めば、TPPに反対を唱えないことこそが「真の反米」であり、「極左反米思想」であり、反ハミルトンであり、反バークであるということが歴然と判明するのです。

TPP推進論者たちの悪質なところは、「親米」という毛皮をかぶって自己のメンタリティに潜む「極左反米思想」=「自己の思想の本籍」を覆い、同時にその「極左反米思想」を温め続けているところにあります。さしあたって、産経新聞、読売新聞などがその典型であります。ちなみに朝日新聞は、TPP・自由貿易に関する主張やその話の筋は産経・読売に近似していても、敢えて「親米」という毛皮をかぶっているわけではなく、そうした観点から考慮するならば、産経新聞、読売新聞は、朝日新聞よりも悪性度が高く、悪質と言うべきでしょう。

たとえばこの記事↓は、このまま朝日新聞に載せてもいいくらいの出来映えというべきでしょう。
【主張】TPP参加 もはや先送りは許されぬ - MSN産経ニュース
(2011.10.09)

ですから小生は、以前から申しているのです、産経は朝日の子会社にでもなってはどうかと。(笑)

愛すべき「保守派」の方々に申し上げたいのは、そもそも、産経新聞のことを「保守系の新聞」などと捉えている段階で、その人の自称「保守」脳は思考遅滞症候群へと思いっきりハメられてしまっているということです。反バーク新聞、反ハミルトン新聞のいったいどこが「保守系の新聞」なのでしょうか、ということであります。小生の観察するところ、TPP論議における産経の知脳レベルは、憲法論議における谷田川某の知脳レベルとほぼ同等です。

        ◇        ◇        ◇

そしてもう一つ、愛すべき「保守派」の方々に申し上げたいのは、アダム・スミスは「保守」か? ということであります。

言い換えるなら、
アダム・スミスは『健全で有益な思想家』か?
アダム・スミスは『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』か?
ということであります。
小生は、アダム・スミスを『健全で有益な思想家』の一人とすることに、あるいはまた『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』の一人とすることに、大いに疑問を呈したいと思っています。

この『健全で有益な思想家』というフレイズは、中川八洋著『正統の哲学 異端の思想』からの引用です。中川八洋著『正統の哲学 異端の思想』において、アダム・スミスは『健全で有益な思想家』の一人として挙げられています。また、『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』というフレイズは、中川八洋著『保守主義の哲学』からの引用です。中川八洋著『保守主義の哲学』において、アダム・スミスは『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』の一人として挙げられています。

小生は、バークやハミルトンこそ、間違いなく『健全で有益な思想家』の筆頭代表格であり、『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』の筆頭代表格であると考えています。対して、アダム・スミスは「國」の認識が薄弱で、世界政府的な主義体系に経済(=経國済民)をハメ込もうとする理念を抱いているところがあるように思われてならないのであります。

よって、中川八洋著『正統の哲学 異端の思想』にある中川先生御作成の『健全で有益な思想家』リスト、ならびに中川八洋著『保守主義の哲学』にある同『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』リストについて、小生はそれらを全面的には認容することはできず、少なくともアダム・スミスについては却下、すなわち当該リストから除外するか、少なくとも「(カッコ)」付きとすべき人物の一人とするのが妥当ではないかと思うわけです。

加えて申し上げるなら、中川先生御作成の『健全で有益な思想家』リストと『日本を益する自由擁護の保守主義系の思想家』リストに挙げられている人物のうち、ハンナ・アーレント、カール・ポパーの両名についても「國」の認識が薄弱にうかがえます。容共的側面の影がちらつく部分や、やや頭の弱い者に対する弱者同情的なところなどは、かつて「犯罪者にもいろいろと事情があるんですよ」云々と発言したことのある何処ぞの大臣と極左リベラル系の最大公約数を共有しているようにさえ思え、小生としては認容し難いところがあるのですが、そのあたりについてはもっと考究を進めてから別の機会に綴ってみたいと思います。





 ■ Online Library of Liberty - Edmund Burke (1729 - 1797)
 ■ Online Library of Liberty - Alexander Hamilton (1757 - 1804)
 ■ Online Library of Liberty - Friedrich List (1789 - 1846)
 ■ Online Library of Liberty - Adam Smith (1723 - 1790)




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